影法師 (講談社文庫) [178回参照されました]
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本の紹介
100% [全408ページ]
状態 読み終わった!
2012/10/24 00:38:23更新
著者 百田 尚樹 ブックリンクされた本
-評価
★★★★★感想
作品ごとに手法や切り口を変えてきている作者が、今度は時代小説というジャンルでアプローチしてきた作品。一言で言えば友情物語ではあるが、最後になるまで彦四郎という人物の本当の姿(真意)を具象化させない描写、そして何よりも彦四郎視点で語らない点では「永遠の0」にも通ずるものを感じた。
その意味では、家族愛をテーマに描いた「永遠0」と同じような手法を用いて、友情をテーマに描いた作品とも言えなくない。
ま、単に"友情"だけでもないのだが。。。。
とは言っても、決して二番煎じだけで終わるような作品ではない!
戸田勘一という男の半生を追いながら、その節目節目に絡んでくる彦四郎との友情物語。それだけならどこかの青春小説にもなりそうだが、本作の舞台を江戸時代に設定したことから、その時代における庶民の生活風景や社会事情、そして当時の武士の生き様など、今回もその世界観を追求したリアリティある描写で非常に読み応えがある!!
また、その辺の時代考証も説明調ではなく、2人の男の生き様を描く中に織り交ぜたり、勘一の出世の要因と絡めたりするなどで巧く表現している点が好ましい。
ただ、彼の取った行いは時代小説としても"できすぎ"って感は少しあるかも。。。。
表題である「影法師」に相応しく実にすばらしい人物だと思うが、ここまで自己犠牲を払って他人のためだけに尽くす人物像は美しくあるものの人間味に欠けて見えてしまうのは穿った見方だろうか。
「永遠の0」の宮部久蔵の確固たる己の信念には説得力があり納得できたのだが、彦四郎の「想い」には時代が違うと言えばそれまでではあるものの、そこまでの共感はできなかったかと。。。。
それと、巻末の袋綴じについて。これは賛否両論だろうが、個人的には単行本時の判断が正しかった気がしないでもない。
ストーリーの中にも伏線はあったのだから、最後に補足説明をせずとも読者の感受性に委ねるだけの余韻があった方が良かったかも。
…作品の出来が良かっただけに、ちょっと高望みしすぎなのかもしれないが。。。。
読書の軌跡
120ページ | 2012/10/19 00:38:01 |
245ページ | 2012/10/20 00:00:06 |
408ページ | 2012/10/24 00:38:18 |
408ページ | 2012/10/24 00:38:23 |
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