とくこさんの読書日記[公開中]
- 2014年09月16日
箱の中 (Holly NOVELS)を102ページまで読みました。
2014/09/16 00:08:10
- 2014年09月15日
光媒の花 (集英社文庫)を読み終えました。
2014/09/15 21:52:34
光媒の花 (集英社文庫)を275ページまで読みました。
反射的に声を止めた。何も言わないでくれと、店主の目が訴えていた。 「お父さんが優しいからなのかもね。お父さんが、ほんとの娘みたいに可愛がってるから、相手も安心するのかもね。べつにほんとの娘じゃないって決まったわけじゃないけどさ。あたしの新しいお父さんも、あんな---」
2014/09/15 17:09:45
光媒の花 (集英社文庫)を262ページまで読みました。
老婆には、あの枝の先にアカトンボが見えているのだろうか。彼女を負ぶった男性は、歌の一節一節にそっとうなずきながら、やはり同じところをぼんやりと見つめていた。
2014/09/15 16:57:32
光媒の花 (集英社文庫)を258ページまで読みました。
「先生、ごめんなさい。迷惑かけて」 くぐもった返事があった。その声が、能力以上のことをやらせようとしてごめんなさいと、わたしには聞こえた。鼻の奥にじわりと痛みが走った。時岡さんと朝代---ずっと年配と、ずっと年少の二人から、わたしは同時に無力を指摘され、同時に諦められたのだった。
2014/09/15 16:50:43
光媒の花 (集英社文庫)を219ページまで読みました。
母の絵を、もう一度見やる。カタツムリの悪戯のせいで、たったいま自分の咽喉もとに込み上げた感情を思い返す。泣いている母を見て、瞬時にわいたあの強い感情。 あれは紛れもなく謝罪の気持ちだったのでははかったか。涙を流す母に見つめられ、胸の中が申し訳なさでいっぱいになり、もう少しで絵の母に向かって頭を下げ、ごめんなさいと口にしてしまうところではなかったか。
2014/09/15 11:50:26
光媒の花 (集英社文庫)を198ページまで読みました。
「風媒ってほら、風に媒介の媒。風が花粉を運ぶ花のこと。風媒の花は、綺麗な外見をしてる必要がないの。だって、わざわざ自分を飾って虫を集める必要がないでしょう?風は、べつに綺麗な色とか目立つかたちに惹かれて吹くわけじゃないんだから」
2014/09/15 11:24:08
- 2014年08月16日
光媒の花 (集英社文庫)を126ページまで読みました。
赤色灯が周囲の景色を断続的に照らし、まるでその一帯すべてが、追い詰められた一個の心臓となって鼓動しているようだった。
2014/08/16 16:52:23
- 2014年07月24日
光媒の花 (集英社文庫)を24ページまで読みました。
口の中に、勢いよく魚が泳ぎ込む感触があった。生温かいその魚は、全身をくねらせて私の中を泳ぎ回った。何が起きているのか、私にはわからなかった。頬骨のあたりに、あの人の鼻が何度か触れた。唇や舌は熱いのに、あの人の鼻は冷たかった。
2014/07/24 07:54:13
- 2014年07月23日
光媒の花 (集英社文庫)を18ページまで読みました。
だから、靄った視線の先に、薄紙でも剥いでいくようにあの人の姿が見えてきたとき、私は思わず立ち止まっていた。
2014/07/23 07:54:12
- 2014年07月21日
燃えるスカートの少女 (角川文庫)を読み終えました。
2014/07/21 13:12:03
- 2014年07月20日
燃えるスカートの少女 (角川文庫)を246ページまで読みました。
わかってるわよ、と先生は私の手首にふれながらいった。ただあなたに何か軽いものを見せてあげたかっただけ。
2014/07/20 23:29:04
燃えるスカートの少女 (角川文庫)を206ページまで読みました。
大部分の人はかれらにむかって一瞬ほほえみ、すぐに舗道に視線を落とした。それから夜になると、老人と老婆は寝室に入り、白いシーツをめくってそれにくるまり、シーツの下にあるものを分かち合うのだった。
2014/07/20 10:47:46
燃えるスカートの少女 (角川文庫)を201ページまで読みました。
眠るときには、彼女は彼の背中からスプーンを重ねるようにぴったりくっつき、彼女のはりだしたおなかが彼の背中のこぶのすぐ下の空間に完璧におさまった。
2014/07/20 09:34:46
燃えるスカートの少女 (角川文庫)を197ページまで読みました。
ここには雪がいないね。雨があまり降らないね。どこにいるんだろう?この土はどうして変なんだろう?
2014/07/20 00:47:42
- 2014年07月19日
燃えるスカートの少女 (角川文庫)を191ページまで読みました。
彼は自分の小さな部屋に戻りlonely(さびしい)という単語について、それが音からいっても二つのlのそれぞれが勝手にぽつんとそびえている字面からいってもいかにもさびしいものであるかを考えた。
2014/07/19 16:27:59
- 2014年06月19日
燃えるスカートの少女 (角川文庫)を154ページまで読みました。
はじめてのデートでやるとき、男はその後の二、三回よりもはるかに上手に抱きしめてくれるものなのだ。はじめてのデートのとき、あなたは誰かしら彼が最後に愛していた相手の代理みたいなもので、あなたが彼女ではないことに彼が気づくにはちょっと時間がかかり、それであなたはこのすてきな感情の残り火をすっかり受けることになる。私は大切にされていると感じ、まるで何年もまえからの知り合いで私が彼のすばらしい彼女だったかのように、彼のおなかに縮こまり、二人でぐっすり眠ったのだった。
2014/06/19 17:38:22
- 2014年05月30日
燃えるスカートの少女 (角川文庫)を144ページまで読みました。
スノッブな女王さま(クイーン)。髪は緑(グリーン)。おれのもの(マイン)。 人魚はビールで酔っぱらった。彼女はとても弱かった。水中ではアルコールは許されていなかったのだ。
2014/05/30 08:04:23
- 2014年05月29日
燃えるスカートの少女 (角川文庫)を128ページまで読みました。
そこに誰か眠っている人がいるのに自分は目を覚ましているせいで、彼は余計に滅入ってしまった。おかげで家が二倍も大きくて二倍もさびしく思えた。
2014/05/29 07:27:35
- 2014年05月28日
燃えるスカートの少女 (角川文庫)を128ページまで読みました。
玄関のドアが閉まり彼女のきつくむすんだ編み上げブーツのこつこつという音が遠ざかり消えてしまうと、ハギーはまどろみ眠ってしまおうとしたが、体の下の床は硬く、元気にかきまわしてくれるモナがいない空気は凝固し澱んで感じられて、あのゆっくりと下りてくる重みがもたらすおなじみの安心感を彼は見出すことができなかった。
2014/05/28 07:41:44