燃えるスカートの少女 (角川文庫) [535回参照されました]
とくこさん がこの本を手に取りました。とくこさんは、これまでに46冊の本を読み、11,505ページをめくりました。
本の紹介
100% [全271ページ]
状態 読み終わった!
2014/07/21 13:12:03更新
著者 エイミー ベンダー ブックリンクされた本
-評価
★★★☆☆感想
童話を思わせる話の詰まった短編集。
「指輪」は別だけれど、読後感はどれもさみしい。
悲しい現実に直面して、そのまま世界が続いて行く。それを拒絶せずに、出来ずに受け入れて、蹲る。
訳し方の問題なのか、度々違和感を感じつつもそれを上回る印象的な表現の数々。
「思い出す人」「マジパン」「癒す人」が印象的。
特にマジパンの苦しさが忘れられない。
読書の軌跡
16ページ | 2012/09/10 14:42:51 |
18ページ | 2014/05/07 07:37:12 | 私のドレスはオレンジ色のプラスチック製の座席をあちらこちらにきゅきゅと滑り、休日のような音を立てている。 |
35ページ | 2014/05/08 07:57:48 | そうよ、とメアリーはいった。あれがね、あなたから最後の本物のキスを永遠に奪ってしまった、そして私の記憶が正しければ、そのキスは私のものになるはずだった。 |
51ページ | 2014/05/10 15:41:46 | そしてあの眠るときは壁をむいてしまう、あなたが彼を欲しがるほどにあなたを欲しがってくれなかったかつての恋人によって、いまでも楽しませられてしまうことに、ばかばかしい気分になる。 |
61ページ | 2014/05/10 16:15:45 | ハンナと私は心配していた---六時が「心配の時間」のはじまりだったから。 |
67ページ | 2014/05/10 16:25:46 | ほんとにハンサムだったね、と私がいうと、父は手を私の頭のてっぺんに置いた---それはいちばん重い、最高の帽子。 |
86ページ | 2014/05/14 07:55:34 | 彼にむきあって彼の体にナイフをつきたてることを想像していたときに彼女が意味していたのはそれではなかった。 |
105ページ | 2014/05/17 11:13:34 | とてもしずかな美しい少女で、まるで水中にいるみたいにスローモーションで動きなぜここに来たのかを誰にもけっして話さない子だ。 |
128ページ | 2014/05/28 07:41:44 | 玄関のドアが閉まり彼女のきつくむすんだ編み上げブーツのこつこつという音が遠ざかり消えてしまうと、ハギーはまどろみ眠ってしまおうとしたが、体の下の床は硬く、元気にかきまわしてくれるモナがいない空気は凝固し澱んで感じられて、あのゆっくりと下りてくる重みがもたらすおなじみの安心感を彼は見出すことができなかった。 |
128ページ | 2014/05/29 07:27:35 | そこに誰か眠っている人がいるのに自分は目を覚ましているせいで、彼は余計に滅入ってしまった。おかげで家が二倍も大きくて二倍もさびしく思えた。 |
144ページ | 2014/05/30 08:04:23 | スノッブな女王さま(クイーン)。髪は緑(グリーン)。おれのもの(マイン)。 人魚はビールで酔っぱらった。彼女はとても弱かった。水中ではアルコールは許されていなかったのだ。 |
154ページ | 2014/06/19 17:38:22 | はじめてのデートでやるとき、男はその後の二、三回よりもはるかに上手に抱きしめてくれるものなのだ。はじめてのデートのとき、あなたは誰かしら彼が最後に愛していた相手の代理みたいなもので、あなたが彼女ではないことに彼が気づくにはちょっと時間がかかり、それであなたはこのすてきな感情の残り火をすっかり受けることになる。私は大切にされていると感じ、まるで何年もまえからの知り合いで私が彼のすばらしい彼女だったかのように、彼のおなかに縮こまり、二人でぐっすり眠ったのだった。 |
191ページ | 2014/07/19 16:27:59 | 彼は自分の小さな部屋に戻りlonely(さびしい)という単語について、それが音からいっても二つのlのそれぞれが勝手にぽつんとそびえている字面からいってもいかにもさびしいものであるかを考えた。 |
197ページ | 2014/07/20 00:47:42 | ここには雪がいないね。雨があまり降らないね。どこにいるんだろう?この土はどうして変なんだろう? |
201ページ | 2014/07/20 09:34:46 | 眠るときには、彼女は彼の背中からスプーンを重ねるようにぴったりくっつき、彼女のはりだしたおなかが彼の背中のこぶのすぐ下の空間に完璧におさまった。 |
206ページ | 2014/07/20 10:47:46 | 大部分の人はかれらにむかって一瞬ほほえみ、すぐに舗道に視線を落とした。それから夜になると、老人と老婆は寝室に入り、白いシーツをめくってそれにくるまり、シーツの下にあるものを分かち合うのだった。 |
246ページ | 2014/07/20 23:29:04 | わかってるわよ、と先生は私の手首にふれながらいった。ただあなたに何か軽いものを見せてあげたかっただけ。 |
271ページ | 2014/07/21 13:12:03 |
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