神様のカルテ (小学館文庫 な 13-1) [211回参照されました]
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本の紹介
100% [全256ページ]
状態 読み終わった!
2011/09/09 01:14:21更新
著者 夏川 草介 ブックリンクされた本
-評価
★★★★☆感想
成程。医療系であるにも関わらず作品全体に温かみがあって、テンポもよく読みやすいが中味はしっかりとした人情物語が展開されるとあっては2010年本屋大賞第2位ってのも実にうなずける。
ちょっと変わり者の医師だけど、何故か患者から好かれる古風な言葉遣いの主人公 一止は一味あって面白味があるし、この口調と風景描写などが作品の内容とも相成って軟らかさと温かみを醸し出している。この作風が持ち味となるのか、本シリーズ以外の次回作が楽しみな作家だ。
舞台は365日、24時間、いつでも患者を受け入れるが故に慢性的に過酷な勤務体制が続く地元の基幹病院。医局制度という多くの医者が通る道筋をあえて避け、舞台である地方病院で患者のために常に現場を走り回る一止は大学病院からの誘いによって医師として自分の有り方を考えていくこととなる。一止の思い悩む過程で地域医療の現状を提示しているだが、そういった医療現場の実情・問題と向き合ってるって部分ではある意味、海堂さんの桜宮サーガにも通じる部分があるのかと。。。本作の著者である夏川さんも現役医師で医療現場の実情を良く知る人物としての問題提議だろうし…
ただ、桜宮サーガが対医療行政へと向かっている傾向とは異なり、本作ではあくまでも患者にとっての医療といった観点を重視しているように見受けられる。
どちらが良い・悪いとかではなく、本作は患者や友人・同僚といった人と人との繋がりから医師としての本質を見返している部分が好ましく、またそれが小説という物語の中で人情モノの側面としても成り立っているのが素晴らしいバランスだったんじゃないかと思う。
まぁ、本作は自己欲が強くて腹黒いキャラクターみたいなのが出てこない医療系小説とあって、若干ファンタジーとも思えてしまう部分はあるものの、人と命の温かみを感じながらも地域医療について考えさせる希有な作品であることは間違い無い!
読書の軌跡
91ページ | 2011/09/06 02:20:14 |
172ページ | 2011/09/07 00:58:49 |
256ページ | 2011/09/09 01:14:21 |
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