巡礼 [109回参照されました]
ぼんぼんさん がこの本を手に取りました。ぼんぼんさんは、これまでに145冊の本を読み、49,132ページをめくりました。
本の紹介
100% [全233ページ]
状態 読み終わった!
2010/10/03 22:31:03更新
著者 橋本 治 ブックリンクされた本
-評価
★★★★★感想
ゴミ屋敷に住む老人がたどってきた人生を描いた小説。
彼はなぜゴミに埋もれて暮らしているのか。
彼は何のためにゴミを拾い続けるのか。
戦後の高度成長期で急激に変わっていく町の中で、変わることができなかった悲しみと、変わらずにそこにあったもの。
華やかな時代の片隅にうもれて忘れられた悲しみの人生。
橋本治は初めて読んだのですが、さすがだなと思いました。
文章が文章でなく、映像としてすんなり頭の中に入ってくるんですよね。
最終章は泣きながら読みました。
ゴミ屋敷に住み、ゴミを拾い続け、近所の住人から鼻つまみ者にされても
「これはゴミじゃねぇ」と言い張る忠市。
忠市は、そこに打ち捨てられたゴミを自分と重ねていたんだな。
一生無くならないもの
自分の手元から消えていかないものを求めていたんだな。
自分の目に映るすべてに意味を見出して、だから自分の人生も無意味ではなかったと思いたかった。
「生きる」ってどういうことなのかと考えていました。
だれにも必要とされないもの、無意味だと決めつけられたものは、
たとえそれがその人の生きた証であったとしても、ゴミでしかないのか。
どんなものにも物語はあるのに。
忠市はだれかに必要とされたかったんだな…
それが行間からびしびしと伝わってきて、こたえました。
人を必要とし、必要とされる。
当たり前にみんなそうして生きているのに、
ただそれだけなのに、
どうしてうまくいかないんだろう。
生きるとはとてもむずかしい。
読書の軌跡
233ページ | 2010/10/03 22:31:03 |
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