堕落論 (新潮文庫) [820回参照されました]
taka_akiさん がこの本を手に取りました。taka_akiさんは、これまでに3,192冊の本を読み、940,386ページをめくりました。
本の紹介
100% [全322ページ]
状態 読み終わった!
2007/09/11 22:42:08更新
著者 坂口 安吾 ブックリンクされた本
-評価
★★★★☆感想
久々に坂口安吾さんの本を読みました。前は「不連続殺人事件」でした。それから、何となく気にはなっていましたし、この本のタイトルも。
ファルス(Farce:道化)の考察や、戦争に対する考え方、この方はまさに戦中を日本で過ごされたんですね。日本の歴史に対する新解釈等々。なかなか、面白いです。
それに加えて、独特の語り口調が小気味良いのです。小粋に斜に構えていると言うか。
「単に、人生を描くためなら、地球に表紙をかぶせるのが一番正しい。」
この表現、カッコいいです。
「現実としての空想のーーここまでは紛れもなく現実であるが、ここから先へ一歩を踏み外せば本当の『意味無し(ナンセンス)』になるという。斯様な、喜びや悲しみや嘆きや嚔やムニャムニャや、凡有ゆる物の混沌の、凡有ゆる物の矛盾の、それら全ての最頂点(パラロキシミテ)に於いて、、、」
パラロキシミテって語彙に惹かれました。
「日本人の貧弱な体躯が特にキモノを生みだしたのではない」
この辺、痛快。日本文化云々とか言っててもね。その実は。。
「苦があって楽があるのだが、楽ばかりになってしまえば、世界中がただ水だけになったことと同じことで、楽の楽たる所以がないだろう。」
「必要は発明の母と言う。乏しきに耐えず、不便に耐え得ず、必要を求めるところに発明が起り、文化が起り、進歩というものが行われてくるのである。」
これは、確かに!って思いましたね。無駄なことくり返すことに何の意味があると。
「人間の一生ははかないものだが、又、然し、人間というものはベラボーなオプチミストでトンチンカンなわけの分からぬオッチョコチョイの存在で、あの戦争の最中、、」
この辺り、当人が感じていた戦争観ってのを垣間みれます。
この他、太宰治、遠藤周作、宮沢賢治等々、そのころの著名人に絡めたエッセイもあったりで、へーとか、ほーとか、思いつつ読んでしまいました。
にしても、引用されていた宮沢賢治の遺稿「眼にて言う」という詩。これは、ゲゲッと思う程の作品。
ちょっと引用:
だめでしょう
とまりませんな
がぶがぶ湧いているですからな
ゆうべからねむらず
血も出つづけなもんですから
そこらは青くしんしんとして
どうも間もなく死にそうです
けれどもなんといい風でしょう
もう清明が近いので
...
って、感じです。人が死に直面した時の視点ってこんななのかなーって、思ったり。って、相当衝撃的でしたけど。
しばらく、この時代の本読んでみようかな。。
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