舟を編む [278回参照されました]
あおみさん がこの本を手に取りました。あおみさんは、これまでに174冊の本を読み、67,684ページをめくりました。
本の紹介
100% [全259ページ]
状態 読み終わった!
2015/07/07 19:14:49更新
著者 三浦 しをん ブックリンクされた本
-評価
★★★★★感想
私の中で辞書とは、知らない言葉の意味を知るためだけに存在していた。本書を読むまでは。
物語の主人公は言葉の魅力に取り憑かれた辞書編集者たちである。彼らは言葉のもつ無限さに辟易することなく、ひたすらに意味を追求し、簡素的な説明の作成に努める。
言葉は時代ともに移り変わり、意味や性質を変えていく。いまこうして私が使用している無数の言葉も、現在と過去と未来とではその意味合いが異なっているかもしれない。このように変遷の可能性を秘めたものを一つにまとめ、注釈をつけようというのだから、まさに終わりがなく、同時に途方もない。
そんな世界で奮闘する辞書編集者たちが本作の主人公である。
言葉の魅力もさる事ながら本書には様々なエンターテインメントを取り入れている。
恋愛や闘争心、葛藤、死。
感情を伝えるためには言葉が大変重要であるが、何も言葉がなければ感情が伝わらないわけではない。言葉と言葉でこれまで通じ合ってきた人同士には、言葉では伝えられない何かが確かにある。
言葉の魅力について説いていた一人の編集者が、言葉を発することができずただひたすらに感情を爆発させ、涙を流す描写には、まっすぐな感動を覚えた。
間違いなく本書の読後には、書店にて辞書を購入しようか迷うことだろう。
また、本作品は映像化しており、そちらも傑作である。各人物が著者および読者のイメージ通り、躍動しているのではないかと思う。
読書の軌跡
259ページ | 2015/07/07 19:14:49 |
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