ワイルド・ソウル〈下〉 (幻冬舎文庫) [63回参照されました]
ぼんぼんさん がこの本を手に取りました。ぼんぼんさんは、これまでに145冊の本を読み、49,132ページをめくりました。
本の紹介
100% [全481ページ]
状態 読み終わった!
2008/08/17 22:16:53更新
著者 垣根 涼介 ブックリンクされた本
-評価
★★★★★感想
決して語られる事の無かった、日本人のもうひとつの戦後史。
ぬくぬくと生きてた日々に冷や水ぶっかけられました。
これはフィクションなんだ!フィクションなんだ・・・って何度も自分に言い聞かせたけれど、それでも読むのが本当に苦しかった。しんどかった。
読書しててこんな気持ちは久しぶりだ。
政府の移民政策にのせられてブラジルへ渡った日本人の辛酸を嘗め尽くした激動の人生と、その当事者や二世たちの国を向こうに回した壮大な復讐劇。
復讐劇の過程はスケールも大きくて冒険小説&ハードボイルドチックでドキドキワクワクしたけれど、この国が昔しでかした棄民政策に比べたら・・まっすぐすぎて涙が出ました。こんな奇襲でしか声が届かないのか。
勇気とは・・・。
自分がエトウやケイの立場だったら?自分が貴子の立場だったら?
そして自分が国側の立場だったら、果たして声を上げることができただろうか。。。考えさせられました。
わたしの母の小さなころ、幼馴染の一家がこの移民政策でブラジルへ渡ったそうです。いつか日本へ帰ってくるからという話が、ついぞ一度も故郷へ戻ることは無かったそう。
身近で当事者を見ていた母でさえ、その政策の実態までは知らなかった。
その話を聞いて、この本を読んで、なんとも暗澹たる気持ちになりました。
顔も見たことがないけれど、母の幼馴染の一家を思うと急にこの小説の中の出来事が実感を伴ってきて、怖くて心配で、こんな事実知りたくなかった!って思ったり、でも一生知らないままじゃなくて良かった、とも思ったり。とにかくいろんなことを思いながら読みました。
逆境の中で、もがきながら生き抜いたあのころの日本人の姿に頭の下がる思いです。日本の歴史を思い返すこの時期にこの本を読めてよかったです。
読書の軌跡
82ページ | 2008/08/15 23:57:54 |
148ページ | 2008/08/16 22:04:10 |
481ページ | 2008/08/17 21:24:55 |
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