八日目の蝉 (中公文庫) [290回参照されました]
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本の紹介
100% [全376ページ]
状態 読み終わった!
2013/02/01 08:24:25更新
著者 角田 光代 ブックリンクされた本
-評価
★★★★☆感想
蝉は地上に出て七日目にその命を落とす。もし、七日を超え、八日目を迎える蝉がいたならば、他の蝉が見たことのない景色が見える。
不倫の末相手の子供を奪い逃走し、女性だけの(過去に堕胎経験や子供を失った経験のある者のみがいる)宗教団体で子供を育て、数年後そこからも逃げ小豆島へ。そこで見た緑や海の色、自然の数々の中で育ち、終いには警察に捕まり逃走撃は終わりを迎える。
そこから場面は変わり、犯罪者に育てられた子供に視点が移る。どこにいっても犯罪者に育てられた子と周囲から見られ、家庭内もボロボロ、そこで犯罪者を憎むことでしか生きて行く術を持てなくなってしまい、その犯罪者と同様に妻のいる男の子供を身籠る。
かつて同じ施設にいた者と再会し、過去の事件を追って行く中で、はじめて自分と向き合うことができ、本当は誰も憎みたくなかったと気づく。なんで私なの、と各々が感じ、それでもどうしようも無い現状を生きている。犯罪者に育てられたということで、他の人が見えない景色をみて育ち、憎むことで生きてきた主人公が、最後には小豆島の自然や、昔育てられた記憶によりすこしずつ自分の本心をさらけ出し、子供を産み一人で育てる決心をする。それぞれが欠けた部分を持つ家族が、生まれてくる子供を通して再生して行こうとする話。
読書の軌跡
376ページ | 2013/02/01 08:24:25 |
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