博士の愛した数式 (新潮文庫) [333回参照されました]
とくこさん がこの本を手に取りました。とくこさんは、これまでに46冊の本を読み、11,505ページをめくりました。
本の紹介
100% [全291ページ]
状態 読み終わった!
2013/08/14 14:36:30更新
著者 小川 洋子 ブックリンクされた本
-評価
★★★★★感想
最後まで読み終わって本を閉じた時、思わず愛おしくて表紙を撫でた。
大きなクライマックスへの波がある訳ではないのに、最終章は涙と鳥肌が止まらなかった。
数字と阪神の、美しい公式のような関係で結ばれた3人が離れてしまうことが悲しくて仕方なかった。
大嫌いな数学が、小川さんの手によってきらきらと、魔法のような魅力で光っている。ずっとその光を見ていたかった。
静かで完璧で愛おしい、300ページ足らずの一冊にこんなに感情をぐちゃぐちゃにされた事が嬉しくて、本を読むことはやめられないな、とおもった。
読書の軌跡
66ページ | 2013/08/02 15:39:21 | 散髪屋の主人はその白髪に覆われた頭蓋骨の中身が、一億までに存在する素数の個数を言い当てられることなど、知らないだろう。目の前の奇妙な男が早く帰ってくれないかと待っているソファーの客たちも、誰一人として、私の誕生日と腕時計に隠された秘密を知りはしないだろう。そう考えると、なぜか誇らしい気持ちになった。私は鏡に向かい、一段と明るい微笑みで、合図を送り返した。 |
80ページ | 2013/08/02 15:53:11 | そして私は、もしかしたら適切ではないのかもしれない言い方で、息子を慰めた。「大丈夫よ。心配いらない。明日になれば元通りになるから。明日になればまた、博士の江夏は、タイガースのエースに戻るから」 |
94ページ | 2013/08/02 16:07:58 |
124ページ | 2013/08/05 14:11:20 | 「夜の準備は始まっている。一番星が出たのだから」 |
198ページ | 2013/08/09 11:05:50 | オイラーの公式は暗闇に光る一筋の流星だった。暗黒の洞窟に刻まれた詩の一行だった。そこに込められた美しさに打たれながら、私はメモ用紙を定期入れに仕舞った。 |
228ページ | 2013/08/13 11:56:02 |
259ページ | 2013/08/13 19:19:58 | 光はまだそこかしこにあふれているのに、一番星と月がひっそりと浮かび、雲が刻々と姿を変えていた。木々の根元には暗闇が忍び込もうとしているが、その気配はまだ弱々しく、夜の訪れまでにはもうしばらく猶予がある。一日のうちで、私たちが一番好きな夕方だった。 |
277ページ | 2013/08/14 14:20:50 | 一度言い淀んでから、彼女は続けた。「私がおります。義弟は、あなたを覚えることは一生できません。けれど私のことは、一生忘れません」 |
0ページ | 2013/08/14 14:36:09 |
291ページ | 2013/08/14 14:36:30 |
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