ハサミ男 (講談社文庫) [101回参照されました]
あおみさん がこの本を手に取りました。あおみさんは、これまでに174冊の本を読み、67,684ページをめくりました。
本の紹介
100% [全520ページ]
状態 読み終わった!
2013/03/06 17:34:43更新
著者 殊能 将之 ブックリンクされた本
-評価
★★★★☆感想
本書は紛れもないミステリ小説だ。文章で世界を創り出す小説にしかできない物語だ。これは映像化できないのではないか。
この本を読むきっかけはその評価の高さである。各々のオススメの小説を書くスレッドに確実に一度は名が挙がっている。さらに、裏表紙の内容も犯人が、自分の模倣犯を捜すという突拍子がないものであったため強く惹かれた。その分期待は高かったと言えよう。しかし、読み終わったとき感じたのは「これだけ?」というものだった。練り込まれている感、その構成力には目を見張るものがあったが、もっと猟奇的というかサイコメトリーを踏まえた捜査なのだと期待していた。そうした少し残念な気持ちのまま、何の気なしに冒頭からページを捲っていった。そのとき、本書の素晴らしさに気付いたのだ!結末を知ってから再読すると、話の端々、会話の一言一言に真相が隠されている。しかし、それは決して分かることはないように。正直、犯人が何となくデブの男ではない気はしていた。が、では誰か、と問われれば答えることはできない。読者にヒントを与えているようで、実は決して手の届かない高い所にぶら下げているだけだったのだ。
是非、真相を知った上で再読したい。
ネタバレ
女子高生2人が殺害された。首を絞められたあと、首にハサミを突き立てられて。この犯人はマスコミからハサミ男と呼ばれ世間を賑わした。ハサミ男が第三の被害者となる美しい女子高生の目星を付け、犯行に及ぼうとした夜、彼女の死体を見つける。それも喉にハサミが突き立てられた姿で。わたしはやっていない!…では、誰が!?
そうして真犯人を暴こうと動き出す。そんなハサミ男には二つの性格があった。わたしと医師。
警察でもハサミ男の割り出しに当たるがこれと言って有力な情報は得られない。犯罪心理分析官と名乗る城之内も同様だった。
クライマックス。
第三の女子高生を殺害したのは、警察本部の城之内だった。しかし、本当のハサミ男は安永知夏という女性。これまで疑われていた日高光一は全くの無関係な人物で、ハサミ男に憧れていただけだった。日高を安永が殺した所に城之内が参上し、安永を逮捕しようとするが安永が城之内の殺害動機をコケにしたことで逆上し暴力を与える。そこに城之内の部下である磯部が突入し、城之内を逮捕しようとする。意を決した城之内は自殺した。
したがって、1.2人目の女子高生を殺したのは安永知夏。3人目を殺したのは城之内。3人目の第一発見者である日高光一がハサミ男だと疑われていた。
つまり、ハサミ男だけが生き永らえた。彼女の最後の一言が恐怖を感じさせる。病院で知り合った頭の良さそうな女子高生に向かって
「あなた、名前なんて言うの?」
読書の軌跡
520ページ | 2013/03/06 17:34:43 |
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