天使のナイフ (講談社文庫) [227回参照されました]
mak246さん がこの本を手に取りました。mak246さんは、これまでに105冊の本を読み、44,761ページをめくりました。
本の紹介
100% [全448ページ]
状態 読み終わった!
2010/09/22 01:22:26更新
著者 薬丸 岳 ブックリンクされた本
-評価
★★★★☆感想
少年犯罪をテーマにした作品は何度か読んでいるが、本作では1つの事件だけでなく、事象の異なる複数の少年犯罪を絡み合わせて多面的に捉えることで、本当の更生や贖罪、それに対する被害者感情などを深く考えさせられる作品だった。
確かに“可塑性”という更生への 道筋は大事なんだろうが、その踏み台としてしか扱われていないとも思える被害者家族がいる事実。加害者が未成年であるが故に屈折した情報で苦しめられる被害者家族。そして、その方々への贖罪を望みながらもできずに苦しむ加害者等がいる中で、現在の少年法では何を更生として捉え、指導しているのだろうか。。
そのような現在の少年法に対する問題意識を促すように、本作はとにかく少年犯罪が立て続く。不可抗力にも関わらず被害者への贖罪に苛まれる者、事件後の更生と自分の“可塑性”を重視して過去に背いている者、そして未成年である自分の立場を悪用する者、、、、等。その加害者たちと関わってく主人公の桧山を通じて前半は被害者側が受ける理不尽な状況や感情を全面に押し出しつつ、後半では被害者の立場や加害者の事件へ向き合う姿も様々な形があり、一概に被害者感情のみを尊重することが全てではない事を主人公と一緒に感じ取っていくことになる。
…等々がメッセージに基づいたしかっりとした構成で綴られてる上に、ミステリーとしてのプロットも見事に絡み合っていて1つのエンターテイメント作品としてのクオリティも十分に高いと言える。二転三転していく展開に翻弄されながら最後には意外な真実が用意されているなど、見事なまでの完成度だった。
その反面、突っ込みどころが多かったのも否めない。いくら小説とは言えあまりに少年犯罪ばかりが連鎖し過ぎだろとか、みゆきがあまりにもフェイクとして配置されただけのキャラクターにしか思えないとか、丸山の後半の性格からしても狂言で電車に飛び込める程の覚悟と意志の強さは感じない、、、、とかとか。
読み応えがあった分、その辺の些細なご都合主義的な部分が気になってしまったのも事実だ。。。
読書の軌跡
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251ページ | 2010/09/18 01:15:18 |
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