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本の紹介
100% [全383ページ]
状態 読み終わった!
2010/07/18 21:35:40更新
著者 百田 尚樹 ブックリンクされた本
-評価
★★★★☆感想
若き天才アスリート達が高校ボクシングを通じて青春の苦悩、人生の選択と運命そして人間の才能について感じさせてくれる感動ストーリー。上巻は作者のストーリーテラーぶりに舌を巻き、下巻はフィナーレへ向けて心揺さぶられ続けます。電車の中で涙が止まらなくなりました(私の場合よくあることですがw)
才能、友情、選択、成長、自信、挫折、再生、努力、復活、運命、これらはサクセスストーリーには欠かせない要素だと思います。おそらくはこんなエキスがうまい具合にちりばめられ、スピーディーで感動的なハッピーエンディングへと読者を誘ってくれてるのだと思います。しかしこの小説のメインテーマは上記のすべてを備えながらも結末はお約束のサクセスストーリーではありません。
「たしかに才能というのは地下に眠る鉱脈・・実際にはほとんどの人が自分の中にすごい鉱脈が眠っているのに気付かんと一生を終えるんやと思います。」というくだりがありますが、作者は誰にでも天賦の才の可能性を感じさせていつの間にか作品世界に引き込んでしまいます。つまり多くの読者は高校時代に回帰させられてしまうのでは⁈
(ここからはネタバレ含みですが)
作者デビュー作の「永遠の0」に同じく、天才的な才能は結果的に草庵に埋もれてしまうわけですが、これはイコール不幸でない演出が心憎い!
主人公は自らの稀有な才能を生かしきれないわけですが、才能があり、努力して勝利と時の女神に微笑みを与えられ、ボロボロになるまで燃え尽きて多くの人々から賞賛されたものの、決して自ら望んだ訳ではない半身不随の厳しい余生を強いられる者とどちらが充実した幸福な人生であるのでしょうか?(そう言えば、昔のスポコン系は前者のパターン多いなぁ)これは当事者でないと決して理解出来ないことなのでしょう。才能があると信じて努力した人々がすべて報われるわけではない運命の非情と、報われなかった運命の先には不幸ばかりがあるわけじゃない救い。
可能性を信じて前に進み続けることの大切さは、多くの読者に感動を届けてくれるお話だと思います。
読書の軌跡
383ページ | 2010/07/18 21:35:40 |
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