ローマは一日にして成らず [417回参照されました]
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本の紹介
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2020/06/02 17:51:45更新
著者 塩野七生 ブックリンクされた本
-評価
★★★★★感想
(p60)適時に適材が適所に登用されて力を発揮する例は、民族の興隆期にはしばしば見られる現象である。ローマの歴史も相当な長時間にわたってこれらの例を見せてくれるが、ヌマの即位もこの一例と言ってよいだろう。
(p64)一年間の各月の配置も(変えた。)しかし、各月の呼称までは変えなかった。人々がなれしたしんできたものまで変えることで生ずる混乱は、避けようと思ったのであろう。おかげで、九月以降の呼称にずれが出てくる。
(p70)ただし、古のローマでは、守り神とはいっても、何もしない者まで守ってやるほどめんどう見のよい神は意味しなかった。努力を惜しまない人間を側面から援助するのが、守護神のあるべき姿と思われていたからである。
(p73)軍団の望むとおりのお告げを鳥にさせるなど、朝飯前のことであったのだ。要は、兵士たちが吉兆と信ずればよいのである。上に立つ者は、いつの時代でも醒めている。
(p73)他の民族とはちがって、ローマには専任の神官たちが存在しなかったことだろう。俗事には一切関係しない、神と人間の間の仲介だけをする人々を、ローマ人は置かなかったのである。…神官や祭司になるのに、特別な能力もそれを養う訓練も必要とされない。…そのうえ、最高神祇官から祭司にいたるまでが、市民集会の選挙で決まるのだった。執政官をはじめとする政府の役職と何ら変りはない、言ってみれば国家公務員である。…固定した階級でないから、他の階級や役職に対する嫉妬が生れない。自らの属する階級保全のための、過度の宗教尊重に執着する必要もない。…実に自然な形での政教分離の定着が、ヌマのなした最も重要な業績ではなかったかと思う。…狂信的でないゆえに排他的でもなく閉鎖的でもなかった…
(p75)人間の道徳倫理や行為の正し手を引き受けてくれる型の宗教(=一神教)をもたない場合、野獣に陥ちたくなければ、個人にしろ国家という共同体にしろ、自浄システムをもたなければならない。ローマ人にとってのそれは、…家父長権の大変に強かった家庭であり、…法律であった…ちなみに、ローマ人と同じく倫理道徳の正し手を神に求めなかったギリシア人は、それを哲学に求めた。
(p76)言葉による説得も、理を解する人はいつの世でも多くはない。
(p82)武力でなくとも戦いは、注目されるほどの力をもたない者には起らない。
(p85)ローマは、農耕民族にはよく見られるように、ゆっくりと、しかし着実に勢力圏を拡大しつつあった。だが、ゆっくりと一歩一歩地歩を固めていくやり方はそれはそれで賞められてよい生き方だが、組織にはときおり、異分子の混入が飛躍につながるという現象が起る。まるで化学反応だが、建国から数えて百三十九年目のローマにも、これが起ったのであった。
(p92)そんなある日、王タルクィニウスは、一人のエルトリアの少年と出会った。生れは定かではない。奴隷の子であったとする人さえいる。だが、王はなぜかこの少年が気に入り、自分の実の子と一緒に育てることにした。…セルヴィウスを少年の頃から育ててきたタルクィニウスの妻が、夫の身に起った変事を知るやただちにセルヴィウスを呼び、いち早く王位を手中にしてしまうよう勧めたからである。王妃には実の息子が二人もいたのだが、王暗殺の直後に呼びつけたのは婿のほうだった。
(p96)セルヴィウスは、アヴェンティーノの丘の上に、狩の女神ディアナに捧げる神殿を建立させた。この女神は、牧畜業をもっぱらとする周辺の部族たちの守護神だった。その女神を敬う人ならば、ローマ市民でなくてもローマに入ることができ、神殿に詣でることができるということである。神殿に詣でるのだから、武器はたずさえないのが常識だ。王セルヴィウスは、他者を拒む城壁と他者をも受けいれる神殿の建設を同時に行い、完成させたのである。なかなか味なことをする。
(p172)改革とは、かくも怖ろしいものなのである。失敗すれば、その民族の命取りになるのは当然だが、成功しても、その民族の性格を決し、それによってその民族の将来まで方向づけてしまうからである。軽率に考えてよいたぐいのものではない。
(p176)だが、このスパルタは、戦士のほかには何も産まなかった。哲学も科学も、文学も、歴史も、建築も、彫刻も、まったく何ひとつ遺さなかった。
(p177)戦争は、それがどう遂行され戦後の処理がどのようになされたかを追うことによって、当事者である民族の性格が実によくわかるようにできている。
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