脳には妙なクセがある [1739回参照されました]
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本の紹介
100% [全366ページ]
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2020/03/07 20:03:13更新
著者 池谷裕二 ブックリンクされた本
-評価
★★★★★感想
(p22)IQは、脳の厚さ自体より、幼少期に脳がどれだけ成長したかが重要だ…確かにIQが109以上の人では大脳皮質は厚いのが一般的です。しかし凡庸な人との差がはっきりと現れるのは9歳以降で、13歳までにその差が決定的になります。つまり、生まれながら皮質が厚いわけではないのです。
(p38)自己のレベルを正しく判断できないーーこのような手痛い傾向は、評価ミスである以上一見不利にも思えます。ならば、なぜ進化で淘汰されなかったのでしょうか。…自己の能力を誤って高く評価する人は、競合においてしばしば有利に働き、結果として集団の中で優位になっていくことを証明しました。戦わずして勝利にない。向う見ずであるのとは最初の一歩を踏み出すことに一役買うのでしょう。
(p49)男性は悪人の行った不正に対して強い制裁の気持ちが表れるのに対し、女性は、相手の善人悪人にかかわらすま、罰を受けてつらい思いをしている人に感情移入する傾向が強いわけです。
(p87)(そのオモチャで遊ばないでねと)優しく言われた場合には、他人から指示されたとはいえ、自分の意志で遊ぶのを止めたという自由な要素が残ります。つまり、「私が遊ぶのを止めたのだから、そのオモチャは大して面白くなかったのだ」という結論になるのです。
(p92)日常生活でも、当初もっともよい選択であったからといって、安全パイばかりを選んでいると、知らぬ間に世界が変わっていて、浦島太郎よろしく、気付けば大損をしていることもありえます。だからといって、根拠のない賭けばかりでは、これもまた問題です。これに対処するために、ヒトは、眼窩前頭皮質と前頭極皮質という対立する二つの脳部位を進化の過程で発達させてきました。…歳を重ねると、私たちは情報収集型人間から情報利用型人間へと変化していく傾向があります。
(p119)社会行動において重要な要素は「自己犠牲」です。
(p145)日本語ではあくまでも心の内側から気合いで元気を出すのですが、英語では身体表現を通じて元気を出すのです。
(p149)古い生物は、苦味(毒)や悪臭(腐敗)などの生命にとって都合が悪いものを拒絶するシステムをすでに発見していて、のちに脳はこの効果的なシステムを転用することで、モラルという高度な社会的感情を創作したというわけです。
(p169)*要約*40個の単語を覚えるとき、覚えられなかった単語だけテストして全て覚えられるまでやると1週間後の正答率は35%、40個全部をテストし続けて全て覚えられるまでやると、80%になった。
(p171)日本人を含むアジア人は、欧米人にくらべ、平均して0.5℃以上も体温が低いのです。…体温が低いと、同じカロリー摂取量でも、…寿命が延びます。…ただし、低体温がゆえに、私たちは、欧米人に比べて、寒がりなのですが。
(p180)赤色は心理的に回避的な傾向を生み、警戒心を高め、一方で、青色は積極的で好戦的な傾向に促すといいます。したがって、極度な集中力が要求されるケースでは赤色が、新しいデザインを考えたり、ブレインストーミングをしたりと、創造性が要求されるケースでは青色が成績がよいといいます。
(p192)老人性うつが見逃されがちなのは、認知症と区別しづらいからです。…もちろん、うつ病は認知症の治療法では回復しませんから、要注意です。…なぜなら、老人性うつは、若者のうつと比べ、薬で治る率が高いからです。薬で治るということは、心境の変化というよりも、むしろ、生物学的変化が引き金になっている可能性が高いのだと思います。神経伝達物質の減少という器質的な変化です。認知症と見分けるヒントは、認知症は年単位でゆっくりと進行するのに対して、老人性うつは経過が早いことが挙げられます。数ヶ月で進行したら、まずは老人性うつを疑ってみるのもよいかもしれません。
(p223)学生のディベートを丁寧に調査すると、答えを誰も知らない状況でさえ、正解率が上昇することがわかったのです。つまり正答は、単純に伝播するだけでなくて、議論の中で新たに芽生えるわけです。…議論を通じて正解に辿り着いた場合は、問題に対する理解も深まって、応用力が身につくため、類似した問題の正解率も上昇します。
(p256)一般的に、平凡な情報は情報として機能しません。わざわざ話題にするということは、それだけ珍しいということ。…本来ならば、話題にすらならない平凡なことこそ真に大切なことかもしれません。
(p258)✳︎要約✳︎感染症にかかる確率が1万人に1人で、もしかかっていたら99%の正しさで陽性と出るとしたとき、100人の感染者のうち99人が陽性と出る。また残りの99万9900人の非感染者のうち9999人が本当は感染していないのに陽性と出る。もし検査をして陽性だったとしても、実際に感染している確率は10098分の1になる。
(p270)「ヒトは自分自身に無自覚であるという事実に無自覚である」とは、ヴァージニア大学のウィルソン博士の言葉です。私たちは自分の心がどう作動しているかを直接的に知ることはできません。ヒトは自分自身に対して他人なのです。…自分が今真剣に悩んでいることも、「どうせ無意識の自分では考えが決まっているんでしょ」と考えれば気が楽になります。そう、そもそも私たちは、立派な自由など備わってはいません。脳という自動判定装置に任せておけばよいのですから気楽なものです。もちろん、自動判定装置が正しい反射をしてくれるか否かは、本人が過去にどれほどよい経験をしてきているかに依存しています。だから私は、「よく生きる」ことは「よい経験をする」ことだと考えています。すると「よい癖」がでます。
(p319)真のベテランは、集中などという奇妙な過程を経ずに、目的を達する
(p323)(記憶を司る)海馬が衰えると、鮮やかに未来像を描くことができません。ひょっとしたら、脳が「老ける」ということは、夢を持てなくなることと似ているのかもしれません。
(p328)「心」は脳回路における身体性の省略
読書の軌跡
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