八九六四 [110回参照されました]
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本の紹介
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2019/10/13 22:23:09更新
著者 安田峰俊 ブックリンクされた本
-評価
★★★★★感想
(No.1183)確かに言論や学問の自由は重要だが、これも意地悪な見方をすれば、知的活動によってメシを食う限られた業界の人たちによる権益の拡大要求にすぎない。当時の彼らが求めていたのは、知識人がその地位にふさわしい待遇を得られる社会の実現でしかなかったのではないか。中国を救うという大看板を掲げた、知識人の知識人による知識人のための運動。庶民とは隔絶した偉さと賢さをもっと考えている業界人たちが、その待遇をさらに向上せよと要求した運動。民主化運動でもなんでもない。天安門のデモには、明らかにそういった面も存在していた。
(No.1196)「香港は中国本土よりもずっと自由な場所だろう?彼らは多くを求めすぎている。同じ中国人なのにわがままだと思うし、賛同できない。」人間はこうして保守化するのだろうか。中国の士大夫は、今もむかしも変わらない。彼らは現実主義的で、政治の風向きに敏感だ。発する言葉はカッコいいものの、いちど挫折すると打たれ弱く、新たな現状を受け入れていく。
(No.1827)日本人はおれたちみたいな運転手や現場の労働者なんかの、手を動かして働く人間を差別しなかった。日本は本当にいい国なんだと思ったよ。
(No.1877)本人の社会的地位に関係なく意見を発表できて、欲しい情報を得られるインターネットは素晴らしい。だが、こうしたネットの特性は、隠された「真実」を教えると主張する、少数者による極端なイデオロギーの誘惑を許しやすいという欠点を持っている。すなわち、検索エンジンに自分が関心を持つ特定のキーワードを入力すると、似たような意見ばかりが表示される。結果、それが世界の真の姿であるように思いこみ、「目覚めた者」としての優越感を抱いてしまう。先覚者としてさらに「真実」に近づこうと、同じ意見にばかり触れるうちに思想は鈍化され、傍目にはどんどん危ない人間になっていくー。
(No.1886)極端なイデオロギーにとらわれた「目覚めた者」は悲惨な末路を辿る。本気でネット右翼の主張を信じてヘイトスピーチをやった人は社会的信用を失うし、ISの主張を信じて自爆テロをした人は生命を失うのだ。しかもそんな結果が発生した場合でも、ネット上の勇ましい扇動者たちは彼らの身をまったく守らず、何の責任も取らないのが普通である。
読書の軌跡
304ページ | 2019/10/13 22:23:09 |
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