ブラフマンの埋葬 (講談社文庫 お 80-2) [141回参照されました]
とくこさん がこの本を手に取りました。とくこさんは、これまでに46冊の本を読み、11,505ページをめくりました。
本の紹介
100% [全192ページ]
状態 読み終わった!
2015/10/09 12:47:29更新
著者 小川 洋子 ブックリンクされた本
-評価
★★☆☆☆感想
サンスクリット語で「謎」を意味する名前をつけられた生き物、ブラフマンと芸術家たちの集まる「創作者の家」で働く僕が過ごした、静かで密やかで穏やかな時間。鉄鍋の表現は明から様すぎる気がしなくもないけど、とても印象に残る。静かな物語の中で鉄鍋の音がずっと鳴ってる気がする。
読書の軌跡
68ページ | 2015/09/06 11:28:28 | 写真はほとんどが変色していた。主人の言うとおり、多くにはアルバムからはがした糊の跡が、縁に残っていた。いくらめくっても、僕の知らない風景、知らない人々の顔が出てくるだけだった。時折気が向いて裏返してみると、かすれかけたインクで、日付や名前が書いてあった。もう二度と、誰に思い出してもらうこともない写真ばかりだった。 |
126ページ | 2015/09/06 14:25:40 | 幹の空洞はどうしてできるのだろう。キツツキか何かが無理に空けたのではない。誰にも気付かれない間に、少しずつ、音もなく空いてゆくのだ。まるで森がため息をつく時の唇のように。 |
129ページ | 2015/09/06 14:30:01 | 彼が部屋へ寄ってくれるのは、暇な時ではなく、むしろこんなふうに疲れている時だった。一日中墓石に向かい、会ったこともない、顔も知らない多くの死者たちの名前を刻み続けた夜だった。 |
148ページ | 2015/09/06 14:47:50 | 彼らは皆、どこへ行ってしまったのだろう。遺体を飾る宝石や豪華な織物と一緒に持ち去られたのだろうか。それとも長い時間を掛けて、骨の髄まですべて、蒸発してしまったのだろうか。 |
192ページ | 2015/10/09 12:47:29 |
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