シュメル―人類最古の文明 (中公新書) [320回参照されました]
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本の紹介
100% [全300ページ]
状態 読み終わった!
2015/06/23 19:20:08更新
著者 小林 登志子 ブックリンクされた本
-評価
★★★★☆感想
西の大陸最古の文明メソポタミア。
シュメル人の発明品「楔形文字」。
大杯、判子、碑や浮彫から見られる
当時の農業・酪農・豊穣・信仰・戦争・外交。
神々と王、神と個人。
文明社会と法律「罪には賠償で償う」。
豊穣の土地、メソポタミアと
周りの国々の攻防。
メソポタミアでの文明的生活や食生活。
女神官が子を産み河へ流す
「捨て子伝説」。
ローマ建国の祖の双子や
伝説の人モーセとか色々似てるけど…
河の神の「神明裁判」によりサルゴンが
王権を剥奪するに至った「サルゴン王伝説」が元ネタだった。
こんなところから来てたんだネ
ユダヤ教、キリスト教の源流とも考えられる
大洪水伝説やバベルの塔。
欧米人らが発掘に熱心な理由の一つなのかもなあ。
自ら信じる宗教の正典起源とか
メソポタミア的“エデン”の意味を知るとか素敵じょないか!
シュメル人が後世に読まれる事を期待して書いた粘土板、
それを現代人が読むロマン。
あぁ〜でもまだ難しい、と言いますか
読むのに苦労しましたぞ。
次読むときには
今とは違った印象になるのかな
高校時代、世界史を習った時、
メソポタミアの楔形文字から
エジプトの聖刻文字へ繋がり
フェニキア文字からギリシア、ローマ字へ発展したのだと
勝手に納得させてしまったが、
これは大いなる誤解であったみたい。
正確には古代で交易活動が盛んな
シリア・パレスチナ地方にて
楔形文字のアルファベット(22字へ簡略)と
フェニキア文字(聖刻文字から簡略)の
2つの系統のアルファベットが使われており、
結果としてフェニキア文字系統が現代まで残ったとされる。
自分的大発見。
誤解が解けて良かった。
読書の軌跡
20ページ | 2015/06/14 00:42:54 | 古代メソポタミアを生み出したシュメル人。バビロニア史「洪水伝説」から旧約聖書の「ノアの箱舟」へ? 航海する上で鳥は羅針盤。メソポタミアは両河とペルシア湾を結ぶ交通要衝。バクダートはメソポタミア中央に位置し、降水量は12-1月に多く6-9月が少ない。都市国家シュメルから新興国アッシリアの統一まで。 |
30ページ | 2015/06/14 02:21:21 |
30ページ | 2015/06/14 02:22:08 | 序章:目次とか概要とか |
40ページ | 2015/06/15 00:32:33 | 古代メソポタミアではラピスラズリが交易品として重宝された。古代の交易は物々交換であり、交易が拡大、複雑化していき記憶の復元の必要から文字が開発されていった。楔形文字の前身「トークンとブッラ」元は取引の契約を証明するためのもの。スタンプ印章の習慣から粘土板へ捺印→ウルク古拙文字(絵文字)→葦で削ったペンで粘土板に書く→"楔形文字"へ。シュメル人は“言葉を粘土板の上に置く”と表現する |
52ページ | 2015/06/15 22:42:10 |
52ページ | 2015/06/15 22:53:48 | シュメル語の文字数:600 漢字の文字数:5万。東アジアには漢字の研究が後漢時代の「説文解字」から表語文字の研究があったので有利。やがて楔形文字を単音文字(アルファベット)として22字に簡略化し、古代シリア・パレスチナ地方で交易活動が盛んな商人に使われた簡単な文字の2つのうちの1つとなる。もう一つはエジプトの聖刻文字から原シナイ語・原カナン語へ更にac11cにフェニキア文字からのローマ字がある。海の民の侵攻でウガリドが滅んだことでフェニキア文字だけ後世に残る。書写材は粘土板を焼くことで保存したり、簡易的に木製書板が使われたりした。 |
63ページ | 2015/06/16 16:48:20 | ウルクの大杯は対であり、お神酒(ビール)を注ぐ。当時ビールは文明人の証で司るのは女神。知らないとエンキドゥみたいに野人扱いw濁り酒なのでストローで飲む。ユーフラテス川は石灰分が多いので灌漑で排水をしないと畑が塩化する。小麦は育たないので大麦を栽培。水流したら東アジアと同じく牛に耕地を踏ませる「踏耕」がある。 |
70ページ | 2015/06/16 17:17:11 | 麦がダメな時は聖樹ナツメヤシ。耐塩性で栄養価が高く、酒や蜜、乾燥ナツメヤシとして食べる。日本でもイラク産ナツメヤシを輸入している。家畜は主に羊と牛。羊には先頭の山羊で群れを管理した。牛は牡は踏 |
70ページ | 2015/06/16 17:20:04 | 牡は踏耕、牝は搾乳で使われた。牡は力の象徴。豚も飼われていたが奴隷の食べ物と一般には考えられていた。魚もよく食べ、一緒に魚を食べることは深い仲であるようで。 |
80ページ | 2015/06/16 17:44:40 | イナンナ女神と聖婚儀礼。農作と交合の関係。太陰暦。シュメルの豊穣 |
92ページ | 2015/06/18 00:16:17 | 最古のスタンプ印章文化。円筒印章は石材(輝石等)で出来ており護符として身に付けたり穴に通して服に着けたりアクセサリーとなり広く使われた.エジプトは パピルス派で普及しなかった。「封泥」で瓶や袋の中身が不正されないようにする。“生きていくのはいつの時代も不安なものだ。世の中、精神的に強い人間ばかりではなく多くは弱い人間である。その際は祈り、神頼みをする”ラピスラズリは権力と神の恩寵を意味する。 |
100ページ | 2015/06/18 01:34:56 | 文字の上に判子を押すことで改竄を防ぐ。判子は失くすと悪用されかねないので紛失届出にて正確な日時が記された。判子の図柄:王(主人公)、蜘蛛(機織の象徴)、交合(豊穣の象徴)、饗宴図(宗教的)、闘争図(英雄,草食獣,肉食獣,合成獣交じり合い、均衡・世界秩序の保障を意味する) |
110ページ | 2015/06/18 01:50:22 | 水牛の図、戦利品や貢物の動物、王家の動物園。神々の勢揃い。祈りの姿勢「鼻に手を置く」,シュメル人の最後の王朝滅亡後、円筒印章は使用された。例)バビロニアにて各人が印章と手作りの杖を持つ習慣があるbyヘロドトス |
120ページ | 2015/06/18 02:08:08 | 戦争のはじまり。2003年イラク戦争は米軍によるフセイン大統領追い落としが目的?メソポタミアでの戦争の記録では「正義はラガシュ市にあり」と書き留められた。「正義は我にあり」を大義名分として侵略や略奪を行っていた。ニップル市の正確な地図が出土し軍事目的で利用されたとする、ドイツが所蔵。ウル王墓にて后妃を始めに殉死者を伴っている。殉死は文明社会の証で、中国・殷代の大墓は強制の跡があるが、ウル王墓は抵抗した様子がなく、従容と死に赴いている。日本でも魏志倭人伝に始まり、武家社会でも儒教の影響で殉死することもあった。 |
140ページ | 2015/06/19 00:06:36 | 戦車。馬は最高軍司令官の王が乗るべき動物。敵兵でも死霊が跋扈しないよう死者は埋葬。弓兵は鍛錬しないとおいそれとは使えないし、接近戦の時代であったので不向き。靴は平時は履かない、険しい山脈に遠征する際履く。王の務めは「自国民を敵襲から守って勝利に導き、国民を飢えさせず豊かな安定な生活をさせること」。友好的外交は贈り物で。旧約聖書「エデンの園」はグエディンナ(エディンの首)の地名から、肥沃な耕地であったシュメル語で平原を意。 |
205ページ | 2015/06/19 22:07:54 | メソポタミアの徳政「母に子を戻す=自由」旧約聖書ヨベルの年の元ネタ。奴隷社会(債務奴隷・犯罪奴隷・購入奴隷・捕虜奴隷)。ウルナンム[法典]が最古の法典と言われる(正確に法典かと聞かれたら微妙)内容は犯罪・結婚・離婚・奴隷・傷害、西アジア世界の掟「同害復讐法」ではなく「傷害罪は賠償で償われるべき」とする。女は財産所有や裁判発言権があったが人権はない。「隣人とは仲良く付き合いたいが、国同士となると人と違い、拗れれば戦争である」イラク・イラン(西戎)も同じく。最古の文学者エンヘドゥアンナ王女バイリンガルで文字も粘土板に結びつける。王ですら識字率は低い。学校もあった。 |
220ページ | 2015/06/21 23:33:49 | 詰め込み教育、算数。猿の手紙。粘土板の家=学校、粘土板の父=先生、粘土板の子=生徒。 |
240ページ | 2015/06/22 00:03:06 | 個人神。蛇神は大抵悪魔か神と位置付けされる、ヘブライ人は前者、日本人及びシュメル人は後者、豊穣や冥府の神とされる。シュメルの冥界は「戻ることのない国」一神教は倫理の問題を絡めて描かれるが、日本やギリシア同様に死者が一律に赴く世界とされる。 |
281ページ | 2015/06/23 19:19:53 | 釘型定礎埋蔵物。バベルの塔は実際より高く見せるため一段の高さが上に行くほど低い。欧米人は旧約聖書からメソポタミア文明へ自らが拠って立つキリスト教文化の背景を辿ることができる。中国の匈奴防衛のための「万里の長城」、ローマ帝国のゲルマン人・ケルト人の侵入防ぐ「ハドリアヌス帝の城壁」と同じくシュメル人も敵の侵入に悩まされ城壁を築いていた。アモリ人の侵入でシュメルの王朝は倒れた。「シュメル人に経を上げることになる」シュメル人の残した粘土板には明らかに後世の人間に読んでもらうのを願って書いたと思われるものもあった。読んでやらねば往生させてやれん。次世代へ伝えることは後世の人間の務めかもしれない。 |
300ページ | 2015/06/23 19:20:08 |
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