動物が幸せを感じるとき―新しい動物行動学でわかるアニマル・マインド [456回参照されました]
ナナイさん
がこの本を手に取りました。ナナイさんは、これまでに4,459冊の本を読み、799,956ページをめくりました。
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本の紹介
| 100% [全368ページ] |
状態 | 読み終わった! 2013/02/20 20:28:25更新 |
著者 | テンプル・グランディン |
ブックリンクされた本
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評価
未評価感想
読書の軌跡
12ページ | 2013/02/03 12:05:44 | 「動物の苦悩は、もっと謎に包まれている。そもそも、動物の苦悩とは何か。怒りだろうか?孤独だろうか?退屈だろうか?退屈は感情だろうか?動物が寂しいとか、それとも退屈しているとかなど、どうやって見わければいいのだろう。」 |
14ページ | 2013/02/03 12:07:06 | 「動物は行動そのものが目的となって行動することはない。環境が自然でないのに、自然にいるときのような行動をするなら、それは幸せでないからかもしれない。」 |
19ページ | 2013/02/03 12:08:49 | 動物でも人間でも、赤ん坊はみな、母親の姿が見えなくなると泣く。母親がいなくなってひとりぼっちにされた赤ん坊は、気持ちがふさいで死ぬことすらある。「パニック」システムは身体的な苦痛から進化したと考えられている。おそらくそれで、人は愛する人を失ったときに「心が痛い」と訴えるのだろうとパンクセップ博士は言う。 |
39ページ | 2013/02/03 12:12:47 | 動物の命を預かる人ー畜産業者や牧場主、動物園の飼育係り、ペットの飼い主ーにはだれでも、動物を精神的に満足させてやるためのよりどころが必要だ。それは、わかりやすく、信頼できて、どんな状況のどんな動物にもあてはまらなければならばい。いちばんいいよりどころは、脳の基礎となる情動システムだ。原則は単純。怒り、恐怖、パニックのシステムをなるべく刺激することなく、探索と遊びのシステムを刺激すること。動物が活発になり、常同行動をしないような環境をつくるのだ。これから、その方法について筆を進めていきたい。 |
71ページ | 2013/02/07 19:14:10 | 子犬に欲求不満を我慢させる訓練でいちばんいい方法は、マッコネル博士によると「待て」と「おあずけ」を教えること。扉の外に出してやる前にしばらく待つように教えるのは、とりわけいいことだ。子犬が幼くてやんちゃなときには、一秒以下でもかまわないと博士は言う。散歩に行く時に大騒ぎして扉から飛び出す犬はたくさんいるので、これは、気持ちを抑えてマナーに気を使うことを犬に教える絶好のチャンスだ。「扉で待つ」訓練で大切なのは、ただ待つこと。犬がちょっとのあいだ静かに待ったら、飼い主でも犬でも、どちらが先に出てもかまわない。犬は衝動の抑制と感情のコントロールができるようになっている。それが何よりも大切だ。(犬 p.71) |
85ページ | 2013/02/07 19:16:20 | 犬には餌や水と同じぐらい仲間が必要だとマッコネル博士は言う。おとなになっても精神的に成熟することがないので、とくに「遊び」システムに刺激を与える必要がある。人間の子どもにするように、おもちゃをとっかえひっかえしてやるといい。前からあるおもちゃは退屈で、新しいおもちゃは楽しい。これが原則だ。犬は、オオカミの血を引いているので「探索」の欲求が強い。オオカミは放浪する動物で、日中に知的な刺激をたくさん受け、一日に何度もさまざまな決断を下す。犬は、放し飼いで仲間と一日中、出歩いているのでないかぎり、長時間の散歩が何よりも好きだ。(犬 p.85) |
96ページ | 2013/02/12 23:30:32 | 猫は犬とまったく異なるため、人は猫の気持ちをうまく読みとれないのだろう。人間が苦労するいちばんの原因は、顔が表情に富んでいないこと。人間は、相手が何を考えているのか知ろうとして、無意識に顔を見る。それは、人間が霊長類だからだ。霊長類は顔を使って気持ちを伝える。顔の表情は、言葉より重要と考える人類学者もいるほどだ。ところが、猫は顔であまり合図をしない。むしろ、体で示す合図のほうが、はるかに多い。猫の顔については、もうひとつ、おもしろい点がある。人間や多くの犬にあるような眉毛がないのだ。(猫 p.96) |
102ページ | 2013/02/12 23:32:37 | たとえどんなに大胆な性格の猫でも、いちばん怖い場所は動物病院の診察室。検査や治療を受けるあいだ、おとなしくさせておくには、すぐれた畜産業者が牛を扱うのと同じように扱うといい。私が牛のためにつくった禁則は参考になるだろう。 ●急に激しい動きをしないー静かな、落ち着いた動作で扱う。 ●診察台には、つるつるすべる金属製の天板を使わないー裏地がゴム製のバスマットをもって行き、診察台に敷くといいだろう。どんな動物でも、つるっとすべるとパニックを起こす。 ●軽くたたいたり、ちょっとくすぐるように触れたりしては、いけないー強い圧力をかけるようにして、しっかりなでてやる。(猫 p.102) |
107ページ | 2013/02/12 23:36:50 | 猫には、強迫性障害に似た行動がとてもよく見られる。猫の前頭葉は、脳のほかの部位とくらべてきわめて小さいので、それが強迫性障害の原因かもしれない。前頭葉は額の裏側にあり、人間では脳全体の二九パーセント、犬では七パーセントを占めているが、猫ではわずか三・五パーセント。前頭葉は実行機能にとって大切な部位だ。実行機能とは、計画を立てたり、系統立てたり、順調に作業を進めたり、行動や計画をたやすくスムーズに変更する能力。強迫性障害の人や猫は、最後の点に問題がある。ひとつの行動や考えにとらわれて、べつの行動や考えに切り替えられないのだ。猫は、犬とくらべるとはるかに自分の流儀にこだわり、新しい環境にうまく適応しないことがよくある。(猫 p.107) |
127ページ | 2013/02/12 23:45:26 | 学ぶ行動はすべて「探索」が引き金になる。猫は捕食種だから、とても好奇心が強い。好奇心は「探索」システムのかなめだ。(猫 p.127) |
188ページ | 2013/02/18 23:45:44 | ライオンとヒョウのちがいは、ライオンのほうがはるかに遠くまで徘徊すること。ライオンは放浪する動物―ほんとうの意味での棲みか、あるいは縄張りさえもたない。放浪する動物は、動物園でもっとも激しい常同行動をする。家庭的な動物と正反対だ。アカギツネのようなマイホーム主義の動物は縄張りをもち、その広さは一平方キロメートル以下。とても狭いので、ほんの数分で縄張りの端から端まで行ける。キツネは動物園の檻の中でいい子にしている。一方、リカオンやオオカミのような放浪する動物は、動物園では、いい子ではない。うろつきたがるからだ。野生では、リカオンは同じ場所で二晩と過ごさない。オオカミは一か所で数晩以上過ごすことがなく、すぐに移動する。どちらも、動物園では、常同行動が多い。動物園の檻は、キツネにはかなり役に立つが、ホッキョクグマやオオカミにはつらいものがある。動物園は、どんなにすばらしくて広々としていても、家であることに変わりない。放浪する動物は家などほしくないのだ。(動物園 p.188) |
198ページ | 2013/02/18 23:47:50 | レイヨウの訓練が始まってまもないころ、飼育員は、「ほうびは通常の餌を使うべきだ」と言った。私は、「それじゃ、だめ。人間にとってケーキやアイスクリームみたいな、ほんもののごちそうを使わなくちゃ」と反対した。ニアラやボンゴがほんとうに食べたい物をつきとめるために、私たちは動物園の厨房にあるあらゆるサンプルを一列に並べ、選ばせた。ニアラはヤムイモを選び、ボンゴはほうれん草が大好きだった。それで、訓練は、このふたつをほうびにしたのだ。動物園の栄養士は、餌のごちそう、とくに穀類やマシュマロのような体に好ましくない食品は、動物の健康をそこなうと心配する。この問題を解決するには、使う量をほんの少しだけにするとよい。穀類のわずかひとサジでも、動物には、ほうびになることがある。ある飼育員は、小さいマシュマロひとつでゾウに芸をさせていた。(動物園 p.198) |
201ページ | 2013/02/20 20:22:28 | 動物の「探索」システムを刺激するもっとも簡単な方法は、何かする物を与えること。人間も動物もみな新しいものに関心がある。動物は目新しい物が大好きだ。目新しい環境を調べるためなら、ときには、電気ショックを与える格子の踏み板を踏み越えてでも、そこに行こうとする。目新しい物を好むかどうかを、無快感の目安として利用できると考える研究者もいる。無快感とは、楽しさを感じなくなり、抑鬱の症状を示す状態だ。研究者の言うとおりなら、目新しい物や場所に対する関心の大きさは、動物が幸せに暮らしているかどうかの目安に使える。(動物園 p.201) |
210ページ | 2013/02/20 20:24:17 | 馬は犬に似ているところが少しある。人間を喜ばせたいのだ。乗馬のプロは、昔から、馬と騎手との親密な関係について解説してきた。現存する最古の乗馬の教科書は、紀元前三六五年から三四五年のあいだに、ギリシアのクセノポンが書いた『馬術論 (On Horsemanship)』だ。「強制され、それに素直に従う馬の演技は、踊り子が鞭や棒で仕込まれて踊っているのと同様に、美しくも優雅でもない。大切なのは、ある一連の合図に合わせて、馬が自発的に調和の取れた芸術的な演技を見せられるようになることだ」とクセノポンは述べている。(馬 p.210) |
226ページ | 2013/02/20 20:25:49 | 馬は社交的なので、飼い主を喜ばせたいという気持ちを持っている。乗る人と好ましい関係がはぐくまれたときには、協力して指図に従いたいという願望が、自然に頭の中にできあがっているのだ。怖い物を見たときでも、乗っている人が親友で、「大丈夫だよ」と言ってくれると安心できる。(馬 p.226) |
240ページ | 2013/02/20 20:27:19 | 正の強化を使えば、動物は突然「わかる」―何かをしたらいいことがあると気づく。これは、動物心理学者の用語で「学び方の学習」と言う。動物は学び方を学習すると、自分から行動するようになる。やがて、いいことがある行動を探して、さまざまな行動をし、自発的に学習をくり返す。カレン・プライアによると、学び方を学習した動物は、人間に調教されているのではなく、自分が人間を調教しているような気分になっている。ほうびをくれるように調教師を仕向けるにはどうすればいいのか、心得ていると言うのだ。(馬 p.240) |
368ページ | 2013/02/20 20:28:25 |
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