夜ごとの揺り篭、舟、あるいは戦場 (講談社文庫) [1512回参照されました]
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本の紹介
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2012/08/11 01:41:28更新
著者 森 瑶子 ブックリンクされた本
評価
未評価感想
母から少女時代疎んじられたのと同じように、自分も娘を愛せず、娘に触られると鳥肌がたつ。夫との関係も歪で、性交渉で1度も満足が得られない。そんな女流作家がセラピーを体験し、はじめて知った真実とは・・・。森瑤子は、男女関係ばかり書き続けた小説家であり、描かれるサガン的社交界にも興味はないし、ある種気取った文体も好みではなく、好きな作家ではないが、「極東ブログ」で知って読んでみた。一見、陳腐にみえる筋立てであるが、森瑤子のこの小説は、セラピー場面と夫と訪れたマレーシアでの現地男性との情事の場面が複雑に入り交じり、濃厚なタペストリーのようで読み応え抜群。また、森瑤子はこの時期、実際自身の家族関係に思い悩みセラピーを受けていたようで、すべては事実ではないにしても、ある種の主観的真実が露悪的に記され、その凄みが興味深く読ませる。
なお、森瑤子は好みではないが、映画女優を綴った「美女たちの神話」は橋本治の「虹のヲルゴオル」と並んで、愛情のこもったよい女優論だと思うし、森瑤子の気取りや熱さが良い方向に出た非常によいエッセイだと思う。
読書の軌跡
189ページ | 2012/08/11 01:41:28 |
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