見えざるユダヤ人―イスラエルの〈東洋〉 (平凡社選書 (174)) [60回参照されました]
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本の紹介
100% [全274ページ]
状態 昔読んだ
2010/09/26 12:18:32更新
著者 臼杵 陽 ブックリンクされた本
-評価
★★★★★感想
ミズラヒームとは、非ヨーロッパ系出身、特に中東イスラーム世界出身のユダヤ人を指す。日本人にとって、ユダヤ人は、西欧におけるユダヤ人のイメージとしてしか知られていないが、イスラエルにおいて、中東イスラーム世界からの移住者は、人口上文化上、さらに政治上も大きな位置を占めている。
彼らは、アラビア語を母語としヨーロッパ音楽よりアラブ音楽にシンパシーを感ずる人々であり、歴史的にはヨーロッパに置けるような組織的な弾圧を受けたことはなかった。しかしイスラエル建国により、中東諸国において反ユダヤ感情が高まり、イスラエルへの移住を余儀なくされたのである。
彼らは、ヨーロッパ系ユダヤ人(シオニスト)により形成されたイスラエルにおいては、西欧系>東欧系>中東系>イスラエル国籍のアラブ人>パレスチナ人という序列に組み込まれ、「見えざるユダヤ人」となっている。
こうした実情から、彼らは、アラビア語文学などにより独自の文化、アイデンティティを形成しており、イスラエル・アラブの和解の可能性を象徴するようである。しかし、アラブとの和平を進めたラビン首相の暗殺犯はイエメン系であり、問題の複雑性を認識させられる。
日本人の知らない、イスラエルの実情を知る貴重な一冊。
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