カクレキリシタン オラショ−魂の通奏低音 [47回参照されました]
northeast57さん がこの本を手に取りました。northeast57さんは、これまでに572冊の本を読み、164,545ページをめくりました。
本の紹介
100% [全295ページ]
状態 昔読んだ
2010/09/26 12:10:59更新
著者 宮崎 賢太郎 ブックリンクされた本
評価
★★★★★感想
著者によれば、「現在のカクレキリシタンはもはや隠れてもいなければキリシタンでもない。日本の伝統的な宗教風土のなかで年月をかけて熟成され、土着の人々の生きた信仰生活のなかに完全に溶け込んだ、典型的な日本の民族宗教のひとつである」と言う。つまり、典型的な日本の家では仏壇と神棚(すなわち、仏教と神道)が共存しているように、カクレキリシタンの家では、仏壇、神棚に加えキリシタンの祭壇があり、仏教、神道、キリシタン信仰が共存しているのである。
生月島、平戸島、五島、長崎、外海の各地のカクレキリシタンの歴史と現在の状況が平易かつ丁寧に語られる。地域間の連絡が無かったため、地域毎にその行事や組織は異なっている。良く知られるオラショは生月島を除くと、声に出して唱えられることは無い。生月島の中でも詞や旋律は、地区によって異なっている。
キリシタン信仰には多くの制約があるため、近年はどの地域でも後継者が無く、解散する組織が急激に増えているという。カクレキリシタンはそう遠くない将来には消え去ることになるのだろう。
カクレキリシタンの歴史は、異文化の変容・土着化の過程や日本人の宗教観に興味を持つ人にとっても、非常に興味深いものである。
読書の軌跡
コメント
コメントするにはログインが必要です。