乱反射 (朝日文庫) [479回参照されました]
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本の紹介
100% [全600ページ]
状態 読み終わった!
2012/01/21 22:55:37更新
著者 貫井徳郎 ブックリンクされた本
-評価
★★★★☆感想
誰もが何気なく、そして致し方なくやってしまうほんの少しのマナー違反。世間体や周囲に虚栄を張ったり、自分の都合のみを正当化する利己的な行動。それぞれが抱える問題や環境は至って身近なものであり、特筆するような派手さも異常性も見られない等身大の世界観。そんなごくごく平凡な日常に起こる細かい出来事が積み重なって幼い命を奪う要因を作っていく。小さな積み重なりが幾重にも絡み合い、連鎖、反響していく様は正に"乱反射"!
…なんとなく、恩田さんの『ドミノ』を思い出してしまった。。。
本作は誰しもが「この程度なら…」と思ってしまっても仕方ないような細々とした事象を捉え、ほんの少しの罪悪感を抱きながらもそれがどんな影響を及ぼすのかを考えもしないで行ってきた結果が1つの大きな事故を呼び込んでしまう過程を描いている。1つ1つは小さな出来心からやってしまうような軽犯罪レベルで法で裁かられるような事がないからこそ、その結果について責任を誰も負おうとはしない。
犠牲となった幼児の父親は憎むべき相手を特定できず、事件のきっかけを作った各々の責任も言及することができずに憤ってしまう。
その不条理な社会に対する怒り・哀しみ・絶望感といった感情がひしひしと伝わってくる作品であり、同時に人間社会という仕組みの恐ろしさを感じ、我が身を顧みて色々と考えさせられる物語だった。
…それこそ、小さな身勝手であれば自分にも思い当たる節は少なからずあるかと。。。
決して後味が良い作品ではないが、当たり前の生活に潜むちょっとした歪みを捉え、緻密な構成で終始飽きさせずに読ませていくあたりはさすがだった!
内容的にもリアリティに溢れてるからこその説得力があり、だからこそ現実社会で起こりうる可能性を感じさせる。
…そういった要因をつくらないように、自分の行動も今一度見直さねば!!
読書の軌跡
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263ページ | 2012/01/11 01:15:45 |
347ページ | 2012/01/12 02:22:01 |
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