カナダの教訓 超大国に屈しない外交 (PHP文庫) [282回参照されました]
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本の紹介
100% [全284ページ]
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2017/08/07 14:10:13更新
著者 孫崎 享 ブックリンクされた本
-評価
★★★★☆感想
(p57)外交分野であろうと、組織のなかでの生き方であろうと、ジレンマに立つときがある。主張するべき点があるが、それは明らかにマイナスを招くことが予想されるときである…大別して、二つの見方がある。一方に「言ってどうなるものでもない。発言するものが、のち苦しむだけだ」という考えがあり、もう一方に「自由な批判こそが、長期的には国の指針を誤らせぬ本当の意味の愛国心なのだということを示したかった」…戦後の日本外交は「アメリカを怒らせない」ことが外交方針で最優先であり、基本的に悩みのない幸福な国に属していた…しかし、カナダ外交は常にこうした悩みに直面してきた。
(p126)アメリカ革命はイギリスからの独立戦争であるとともに、国内戦争でもあった。アメリカ国内に独立戦争による急激な変化を歓迎しない層が存在していた…王党派と呼ばれるグループである…応答の一部は迫害に耐えられず、イギリスの保護を求めてアメリカ近隣のイギリス領に移民する…王党派は"アメリカ人"である。彼らは、イギリスの王に忠誠を誓っているわけではない。王党派は平等などアメリカの思想を受け継いでいる。問題はこの思想を、"気違いじみた多数決"でなく、アメリカ革命前にあったイギリスの制度で実現しようとしたことである。これらのなかに、カナダを、アメリカ合衆国より立派な"アメリカ"にするという意気込みがある。アメリカという巨大な国の隣で、より優れたものを作るのは容易でない。しかし、カナダ人のなかに、自分たちのほうが、人道的であり、協調的であり、質的に優れているという考えがしばしば現れる。
(p171)公的機関にいる者の関係は、個人の能力でなく、座る"椅子"の違いによって決まる。カナダの首相は、何もケネディの知的水準や、政治的経験の豊富さに頭を下げるわけではない…自分の国より10倍も強力な国の指導者の座に頭を下げるのである。このことを忘れるとき、弱い椅子に座る者の悲劇が始まる。
(p175)外交分野には、"よき関係を持ちたいと思う王族同士は決して直接会わずに、よき仲介者を通して意見交換せよ"との格言もある。事務レベルで交渉が行われている場合は、失敗しても、もう一度、レベルや人を変えて出直すこともありうる。少なくとも、感情的反発が、後々両国関係に影響を与えるということは少ない。
読書の軌跡
23ページ | 2017/07/30 16:34:14 |
171ページ | 2017/08/05 13:55:00 |
175ページ | 2017/08/05 14:35:42 |
176ページ | 2017/08/05 14:35:55 |
284ページ | 2017/08/07 14:10:13 |
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