さよならニッポン農業(生活人新書321) [30回参照されました]
トンチキさん がこの本を手に取りました。トンチキさんは、これまでに41冊の本を読み、12,682ページをめくりました。
本の紹介
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状態 読み終わった!
2010/11/04 12:09:14更新
著者 神門 善久 ブックリンクされた本
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・無秩序と、経済学で言う競争とはまったく異なります。ルールを明確にした上で小作料や農産物価格をめぐって、農家間で競争し、その結果として、農業に長けた者が生き残るのが市場経済です。農家が無秩序に利用されている状態は、大前提であるルールが確立できていないことを意味しています。p42
・江戸時代の封建的システムには、深刻な問題があります。それは、新たな技術や品種の開発を阻害することです。p47
・地租改正によって、身分制度の撤廃や交通の自由化とあいまって、封建システムが崩壊します。p49
・地租改正によって誕生した「手作り地主」が、この秩序維持機能を果たすようになります。
・第一次世界大戦後、手作り地主を基軸とした秩序維持システムは、急速に有効性を失います。その原因は、重工業化です。p52
・皮肉なことですが、戦時経済が、農村に秩序を取り戻したといえます。p58
・戦後、農地改革により、地主小作関係は、半ば強制的に解消に向かいます。p60
・1950年代初頭は、自民党が長期政権の基盤を形成する時期でした。政府が経営難の農協を救済すると同時に、農協を農民票の取りまとめ機関化していきます。
・ほころびが出ているにもかかわらず、旧来型のシステムの延命措置ばかりが次々と採用されました。その典型が、1970年に始まった「一律減反」制度です。p73
・田中内閣は、農家の行動原理を変えたといってもよいでしょう。p79
・1990年代になると、JAの政治力は下降線になります。原因は①金融自由化によるJAの経営体力低下、②小選挙区制度の導入、③農村部でのミーイズムの浸透p84
・日本の農地利用には五つの特徴。①効率的な水利用と、地力収奪・病害虫繁茂を防止するため、農業者同士の緊密な利害調整が必要、②農的利用に適した農地ほど、都市的利用にも好適であり、潜在的な転用需要が大きい、③農地には環境保護という公的な価値があるため、規制なり補助金なりで保護する必要がある、④土地は計画的に利用されるべきという一般論には合意できても、具体的にどういう計画がよいのかは、個人差が大きい、⑤一般に農業を美しいものとして捉える傾向があり、農地問題の現実から逃避しがちp120
・欧米の場合、農業に適した土地は都市から離れていますから、転用期待で農地の貸借が阻害されるということがありません。また、日本のように水は共有しませんし、個々の農家がめいめいの考えで好きなように土地利用をしても問題は発生しません。p124
・JAや農業委員会や減反政策の寿命が尽きるのは時間の問題。尽きた後の準備を急ぐべき。p158
・平成検地の実行、ふさわしい人からふさわしい土地利用への転換、転用権の入札制度、離農プログラム、アジアとの共存共栄が必要。
・転用期待での農地取得を促したり、不適切な農地利用を助長したりするような規制緩和ならば、それはむしろ競争メカニズムに逆行します。p177
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読書の軌跡
205ページ | 2010/11/04 12:09:14 |
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